アメリカ人の8割はパスポートを持っていない

町山さんの本を読んだ。

こんな刺激的な本、久しぶりだ!

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

この本を読むまでは、アメリカ人がこんなんだとは思っていませんでした。

18〜34歳で新聞を読むのは三割以下。 ネットでニュースを見るのも11%

CNNの平均視聴者は60代!

パスポートを持っているのは国民の2割。
そして、アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない!!!!





第一章は、「暴走する宗教」
キリスト教福音派の子供向けキャンプ「キッズ・オン・ファイヤ」(ジーザス・キャンプ)の内容が早速凄い。

牧師が冒頭から、(6歳の子供に向かって)「ハリーポッターを知っていますね?あれじゃ悪魔の手先です!死ぬべしです!」
と叫ぶw
そして最後は福音派が支援するブッシュ大統領(当時)を拝む。。。

この福音派といふのが厄介で、彼らが強い南部では、ダーウィンの進化論、ビックバンなど
キリストの教えと矛盾する教育は出来ない。
だから、アメリカ人の2人に1人は「人間は去るの進化系」というのを信じていない。







第二章は「デタラメな戦争」
イラク戦争批判が中心であるが、印象に残ったのは”戦争株式会社”「ブラックウォーター」のコラム。
実はiraqに駐留する兵士には、アメリカ人でありながら、米軍でも多国籍軍でもない兵士がいる。

警備会社ブラックウォーターの社員である。この会社、戦争・紛争地帯での任務を専門としており、
イラクに5万人もの’警備員”がいて、もちろん、危険な任務に当たっている。
池上彰氏は、日本人もいると言っていたが・・・









第三章「バブル経済格差社会
冒頭は、ウォルマートの労働条件・待遇のひどさ。
買収されちゃった西友も大変だね。








第4章「腐った政治」の、カール・ローヴの記事が最高に面白かった。
カール氏とは、ブッシュの大統領補佐官で、「ブッシュの頭脳」と呼ばれた人物。

ウォーカー・ブッシュに初めて会った日に、「貴方を大統領にしてみせる」と宣言し、見事プレシデントにまで
押し上げた。と書くと格好良いが、実際は卑怯な手を使って選挙戦を戦って来た。

19歳でイリノイ州財務官選挙に共和党のボランティアとして参加したカールは、
対立候補の事務所に不法侵入し、チラシを1000枚盗む。

なんだその程度かと思いきや、そのチラシに「ビール・食べ物・女の子がタダ」と書き、ばら撒く。
それを見た浮浪者が集まり、民主党演説会はメチャメチャ。

86年のテキサス州知事選の時には、「民主党に盗聴器を仕掛けられた」とウソの通報をし、
相手はイメージダウン。クレメンツ知事再選。

その後はブッシュの選挙にかかわり、テキサス州知事選では相手の女性候補がレズだというウソを電話で流し、

00年大統領選の共和党予備選では、同じ共和党のマケイン上院議員が、
マザーテレサ孤児院から引き取って養子にした黒人少女に目をつけ、
「黒人の隠し子」と、またデマ電話。 保守層はこれに引っかかり、20%もの差を逆転。
本選でもゴアを破り勝利(ということになっている)

以上の点から彼は「選挙の天才」(日本にも同じあだなの政治家が・・・)と呼ばれ、
ブッシュ政権時では無線機でブッシュを操っているとまで言われた。
日本では言えば青木幹雄か。

逆臣 青木幹雄

逆臣 青木幹雄








第五章「ウソだらけのメディア」も興味深かった。

元々、世界のメディア王ルパート・マードック氏には興味があって、
中学生の頃、本を読んでいたが、最近ではウォールストリート・ジャーナルを手に入れている。
引退する気はサラサラないよう。

傘下の20世紀フォックスも、アバター世界新記録達成。
これまで1位だったタイタニックも、同じくfox
そのグループのfoxニューズも視聴率であのCNNを抜くなど、
マードック王国は強いです。

マードック―世界のメディアを支配する男

マードック―世界のメディアを支配する男

次に、コメディアン、スティーブン・コルベア氏のコラム。

彼は上記フォックスのブッシュ万歳極右偏見報道を皮肉るために、
あえて、彼ら(右翼)の真似をしていたんですが、
ホワイトハウスが勘違いして、彼を晩餐会に招待ww

彼はブッシュのすぐ横で、ブッシュへのブラックジョークを連発。
ブッシュの反応が面白すぎます
この本の作者による翻訳はこちら
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060429











第六章「アメリカを救うのは誰か」
ここではマケインの経歴が紹介されているが、本当に凄い人だ。

ベトナムで二度も死にかけ、5年も捕虜になり、拷問にかけられる。

実は、父親が軍幹部だったため、早く解放されるはずだったが、
「仲間を置いて、自分だけ逃げるわけにはいかない!」と言い、
自ら捕虜になったという。。






というわけで、この本はアメリカの凄い実態を知ることが出来ました。
しかし同時に、こんな国が世界のリーダーだったのかとも思いました。
オススメです。

同じ著者の別の本を、現在読んでいる最中です

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢

読み終わりしだいレビューを掲載します。

ちなみにこの本の作者、町山智浩さんも、はてなユーザーです
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/