ツリー・オブ・ライフ 試写会 感想

昨日、市川市民のK君と
よみうりホールで「ツリー・オブ・ライフ」の試写会を見てきました。




これまで試写会へは幾度と無く足を運んでいる私ですが
映画終了(エンドロール開始時)に
あれほどざわめきが起こったのは初めてです
(すぐに席を立つ人も多かったです)


原因はおそらく、多くの観客が、この映画について
大きな勘違いをしたまま鑑賞したということです。

実を言うと私もその一人なのですが
チラシのあらすじやネットの予告編を見る限り、
「主人公が、幼き日の両親との思い出や葛藤を回想するヒューマンドラマ」
と思えてしまうのです。

しかし実際はまったく違います。
まず、セリフがかなり少ないです。
そして根本的に役者が出てくるシーンが少ないです。
では何が出てくるのかと言えば
ディスカバリー・チャンネルのような壮大な自然の映像に、
宇宙の真理を思い起こさせるマグマのようなCGなのか何なのかわからない映像・・・。

そのところどころで男女のナレーションが入るのですが、
内容はキリスト教の聖書を音読しているかのような物で
日本人にはいまいちピンと来ません。

また、少年が大人になっていくまでの様を描くのかと思いきや、
いきなり中年に時間が戻ってしまうので、
さらに観客は混乱してしまうのです。


ここまでは悪く書きましたが、もちろん良かった点もあります。
まず、ブラピの存在感です。
彼は出演する映画のたびに様々な役柄に挑戦し、
いずれも成功させ高い評価を得ているわけですが、
今回の”厳格な父親”という役もかなりのハマリ役でした。
雰囲気がまさに1950年代の保守的な土地テキサス州でしたし、
髪型や服装も似合っていました。
今回の出演で彼の役者としての評価がまた1つ上がったことは
間違いありません。

他にも、数名の子役、そして優しい母親の役者も素晴らしい演技でした。
ショーン・ペンに関しては登場シーンが尋常じゃないほど少なく
評価できません。 彼が偉大な役者であることには変わりないのですが)

そして、なんと言っても音楽が良かった!
予告編にも使用されているスメタナの「モルダウ」を初めとして
劇中で使われる曲が全て映像・内容にマッチしていました
(そしてどれも良い曲です)

さて、最後にもう一度書きますが
この映画に単純な家族愛や感動を求めないでください
私がタイトルに書いたように人によってまったく評価が異なる映画であります。

ただ、私はこの試写会の後、一緒に行った友人と
この映画の内容や映像の意味などについて
話し合うことが出来ました。

最近は単純な映画が多い中、ここまで考えさせてくれ(たとえ映画が好きになれなくても)、
映像・音楽・役者を楽しむことが出来る映画は貴重かもしれません。

気になっている方はぜひごらんになって、
自分ひとりだけの捉え方をすべきだと思います



予告編